誠実、不誠実     2011

Oscar Wilde
Oscar Wilde

 

真面目が良い事だと、もうだいぶ前から刷り込まれていますから、誰しも真面目に生きる事を求められ自分にも課して行く事になりますが、人生がうんと短ければ生涯真面目でいられようものも、80年も生きている間には、そうそう真面目にやっていられない事もしばしば出てくるはずです。 元来いい加減な私は、真面目な人に敬意は払いますが、自分を真面目な人と評価してもらうための努力はとうの昔に捨ててしまったように思います。 好きな事にはそれこそ真面目に取り組むでしょうが、興味の無い事となると、あきれるほどいい加減な態度になると言う、およそ信頼からは程遠い人間になってしまっているかもしれません。
それに、長いスパンで見る事が難しい、要するにせっかちで直ぐに結果や効果、成果を求めたがる所があるので、真面目で良かったと思う時もあれば、真面目にやったのに悪く言われたと思う事があったり、と評価がいい加減なものだから中々誠実な人間になれないでいるわけです。 勿論結果も効果も、成果も自分の評価なのでこちら側(受け取る側)の思いこみと力量でしょうが。


オスカー・ワイルドの「真面目が肝心」ーThe Importance of Being Earnestー という戯曲がありアーネストことジャックととその甥っ子アルジャーノンが巻き起こすロンドンとその郊外が舞台の喜劇がありますが、ワイルド特有の風刺や皮肉の効いた台詞と言い回しに満ちていて、ハッピーエンドまでスピーディに展開していく、今読んでも愉快な優れた喜劇です。
深刻な悩みや問題も、ずっと胸に抱えたまま、或いは背中に背負たまま歩き続けるのは決してたやすい事ではないし、その間に抱えているものが更に重くなる事もあるでしょう。
以前にどんなときにも、ユーモアがあると救われる事が多々あることを「コメディ」(2010,10月7日)の中で触れましたが、時々は深刻な直ぐには解決できない事も、手の中から解き放して、自分事から他人事へ無責任に眺めてみても良いと思うのです。
案外、「悩み」の本質が見えてくるかもしれません。 悩みの客観性は、本質に近づき解決を促す手助けになってくれる気がします。

さて、O・ワイルドは彼の逆説的な言い回しで、こんな事を言っています。
Seriousness is the only refuge of the shallow.
まじめさとは軽薄な人間の唯一の避難所である。
更にはその軽薄さを、
Only the shallow know themselves.
軽薄なものだけが自らを知る。
と評し、
A little sincerity is a dangerous thing, and a great deal of it is absolutely fatal.
ちょっとした誠実さは危険であるが、桁外れの誠実さは致命的だ。

と不誠実を進めています。  
そして、誠実さの中の不誠実に怒り、不誠実さのなかの誠実に誠意を見出す不思議もまた、人間なのですものね。

 

What's New

 

 

<最新のニュース>

What's New!

早苗美幸のブログ 

人生相談ブログ:女と男の内部告発®

 

早苗美幸事務所

お問合せはこちらから